春雨

水たまりを泳ぐ花びらに
君の名前をそっと書いて
空中分解させたら
上手に吸い込めるように
僕は咀嚼の練習を

幾度も歩いた道なのに
旅人のように惑うのは、なぜ
ゆるやかな風に舞って
僕のもとへやって来るのは、

コンクリートに薄紅色
(ぼくときみ)

きみに会ったらなにを話そう

この雨にさえ消せない不純さで
潔白なきみを満たしていいの?
こたえは
はたして、

約束を叶える日は、きっと

(いつだって、春)